こんにちは。料理人のだいきっちゃんです。
今回は日本料理の基本中の基本「だし」です。巷では顆粒の出汁や、ティーバッグに入っている便利で簡単に出汁を取る製品がありますが、これに頼っているといつまでも料理の腕は上達しません。
一般的な出汁の取り方とプロの取り方を教えます!
「だし」は日本料理の基本でありながら、最も重要なパートですので、日本人なら是非習得しましょう。
美味しい料理は「だし」で決まる!
実はインスタントな日本の出汁
「出汁を取るのはめんどくさい」と思っていませんか?
日本の出汁は、お湯を沸かすついでに昆布と鰹節を入れてしまえば出汁は取れてしまうので、とてもインスタントなんです。
時間も15分くらいで済んでしまいます。
出汁になる食材を長い時間をかけて乾燥させて乾物にして、味を凝縮させてあります。
この食材は様々で、鰹、昆布の他にも、煮干し、干し椎茸など様々です。
これを水に入れて戻すだけでも良い出汁が取れるのですから、手間がかかるというほどのことでもないと思いません?
用途に合わせて出汁を取ることができれば料理の幅はグンと広がります。
乾物ですから、湿気のない場所に保管しておいたり、冷凍保存も可能です。常備しておくことになんの苦労もありません。
出汁の取り方
では、早速「出汁の取り方」です。
- 水と昆布を鍋に入れて弱火にかける。
- 昆布がゆらゆら浮かんできたら、昆布を取り出す。
- 火を強火にし、一度煮立たせる。(昆布の臭みが飛びます)
- 火を止めて90度くらいに冷まし、鰹節を入れて放置。
- 1分ほどおいて、キッチンペーパーなどで漉す。
以上です。
簡単ですが、これが一般的な出汁の取り方です。
家庭ではこの工程を覚えておけば十分なんですが、プロが取る出汁の味というのは全く違います。
もっと旨味がはっきりと出るし、味付けが薄くても美味しく感じます。
ではどこに違いがあるのか見ていきましょう。
ポイントを踏まえれば家庭で取る出汁が数段美味しくなります。
「美味しいを作る」ポイント
美味しさの一番の秘訣は良い素材を使うことが一番に挙げられます。
どんなに天才的なシェフでもこれは最重要事項です。
出汁の材料は、水・昆布・削り節です。この3つをきちんと理にかなった物にすることが重要です。
そして、3つの中でも水は特に気を付けるべき項目です。
出汁に適する水は軟水であることです。
つまり、どんな料理においても軟水であることは必須と言えます。
これについては、今後お話することにします。
昆布・削り節についてもこの後紹介します。
材料を見直したら、いよいよ細かいコツを説明していきますね!
ここからはプロの取り方です
せっかくなので割烹料理店を覗いてみましょう。
きっと今ごろ出汁を取ってますよ・・・・
今日はもっと細かい事を教える!
鍋に水と昆布を入れて弱火にかける。ピヨっと・・・・
こんなにすぐに味が出てくるんでございやすか?
昆布の旨味を抽出
とても簡単に取れる出汁なのですが、実はプロの料理人はこの工程の中で、たくさんの「技」を使います。
はじめの工程で昆布の旨味を最大限に抽出することから説明しましょう。
ピヨキチが疑問に思った、昆布の旨味の抽出時間。
実は短時間で煮出すより、長時間かけてジワジワ煮出す方が旨味は濃く出てきます。
大体65℃〜75℃くらいになったら次の段階に移るぞ。
でも、温度計なんてないっすよ?
よ〜く観察するんだよ。いいか、食材ってのは調理し始めたら刻一刻と変化していくんだ!
その時の天気や温度で仕込み方は変わってくるんだぞ!
だから日頃から「良く見る」ことが大切だ!わかったか!
じゃあ具体的な見極め時ってのがあるんでございやすか?
それから今度は鍋にも気泡がついてきたのがわかるか?
あ、こうなったら次の段階になるんすよね?
そのまま20分、昆布の旨味を抽出する。
・・・20分後・・・。
次は鰹節だ!
お茶なんか飲んでねぇで仕事しろってんだ!
昆布出汁の取り方は水出しの方法もあります。
昆布にも種類が様々で、お店によって好みがありますので試しに色々比べてみる事をおすすめします。
ちなみに私の店では利尻昆布を現地から取り寄せて使っています。上品ながらコクのある出汁が取れます。京料理では良く使われている昆布です。
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真昆布は上品で甘みのある出汁が取れます。佃煮やおぼろ昆布の原料として使われているので馴染み深いです。
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昆布の中でも高等な羅臼昆布です。生産量が少ないので貴重と言えます。味はもちろん美味しいです。
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日高昆布。煮物の出汁を取る時はこちらを使っています。肉質が柔らかいのでそのまま煮物に入れたり、佃煮などに適しています。昆布巻きなんかもこちらですね。
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鰹節の旨味を抽出
昆布の旨味をじっくりと抽出したのとは反対に、鰹節になると打って変わって時間はかかりません。しかし、薄っぺらく削られた鰹節は「高温ではえぐみや苦味が出てしまう」という特徴があります。これではせっかくの出汁の旨味が隠れてしまいますので、温度を上げすぎないことが重要です。
削りたての鰹節がいつも楽しみで仕方がねぇんだよ、オイラは。
昆布出汁を取ってる間に削れって言ってるだろうが!
塩をひとつまみの味付けだけで「ホッとする」美味しい出汁が楽しめます。
血合い抜きの削り節だと雑味が出にくいです。
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カビを付けた本枯れ節の削り節もあります。
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本物志向なら絶対これ。
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ほぐしながら削り節を鍋にいれるだけっすからね♪
この出汁は削りを入れてから火にかけないが、人によっては80℃くらいで入れた後、強火にかける。
より強い味の出汁を作ることができるんだ。
料理によって出汁の取り方を変えるのは当たり前のことだ。
おっと、そろそろ出汁を漉さないと・・・
お店では”さらし”や”ネル”を使いますが”リードペーパー”で代用できます。
ちなみに二番出汁は絞り出します。
まとめ
濁った出汁になってしまったようですね。
鰹節を削るのを忘れたピヨキチのせいです。
一般家庭では、すでに削ってある鰹節を使えば十分美味しいです。しかし、お店ではそうもいきませんね。まぁ、言ってしまえばそれがプロとアマチュアの違いでもあります。
出汁は空き瓶やペットボトルなどに移して冷蔵しておけば3日は保存することができます。(ただし味は落ちます)
保存期間の目安は、味見をしてみて「酸味」が出ていたら腐ってます。
この一番出汁というのは「吸い地」と言います。お吸い物で上品な香りを楽しむための出汁なので、
プロ仕様な出汁なんです。
ですので、家庭ではあまり必要がないかもしれません。「おもてなし」をする料理を作りたいのなら覚えておいて損はありません。
先にも言ったようにこのように丁寧に、手間と暇を惜しまずに作れば、どなたでも美味しい料理は作れます。
是非、家庭で出汁を取れるようになってください。より愛情のこもった料理が出来上がりますよ。
つづく・・・
こちらもおすすめです。
出汁の取り方は色々です・・・。
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