漆かぶれの対処法|金継ぎでかぶれた僕が試したこと【体験談】

漆かぶれの対処法|金継ぎでかぶれた体験談

先日、漆にかぶれました。

僕は壊れた器を金継ぎで直しているので、漆は日常的に扱います。今まで一度もかぶれたことがなかったので、完全に油断していました。

漆かぶれの対処法を調べると、たいてい「病院へ行きましょう」で終わっています。もちろんそれが基本なのですが、実際にかぶれてみると、知りたいのはその先でした。

この痒みはいつまで続くのか。何をすれば楽になるのか。

この記事は、実際にかぶれた僕が五日間で試したことの記録です。医学的な正解ではなく、ひとりの体験談として読んでください。

漆かぶれの正体——ウルシオールによる接触性皮膚炎

漆でかぶれるのは、漆の主成分である「ウルシオール」という物質が原因です。

皮膚からウルシオールが入り込むと、それを排除しようとする体の反応で炎症が起こります。いわゆる接触性皮膚炎です。

やっかいなのは、数時間から一週間ほどの潜伏期間があること。

漆が皮膚についても、その場では何も起きません。だから「自分は漆に強いんだな」と勘違いする。

そう、僕のように。

漆かぶれの原因となる漆の木

僕の場合——金継ぎで、漆にモロに触れた

原因ははっきりしています。器を金継ぎしているときに、漆そのものに直接、しっかり触れました。

作業に集中していると、いつの間にかどこかについている。今まで何度もそういうことがあって、それでも一度もかぶれなかったので、完全に油断していました。

そして厄介なのは、触れたその場では何も起きなかったことです。

異変が出たのは、忙しい営業が終わって、疲れて帰ってきたあとでした。体がむず痒くなって、見てみると蕁麻疹のようなブツブツが出ている。

魚介を扱う店なので、最初は味見をしたときのアレルギーかと思いました。でも思い当たる魚介がない。食物によるものなら三時間ほどで出るのに、食べてすぐ痒くなったのも妙でした。

漆だと気づいたのは、だいぶあとです。

体調が落ちると、出やすくなる

原因は漆に触れたことですが、症状が出るタイミングには体調が関係していると思っています。

僕のときも、疲れとストレスが溜まっていた日でした。二日酔いなど、消化器が弱っているときは特に注意した方がいいと思います。

触れてから時間が経っていても、体が落ちたタイミングで出てくることがある。ここが漆のやっかいなところです。

触れていなくても、かぶれることがある

僕のように直接触った場合以外にも、かぶれる経路があります。

山のなかで

職人がかぶれる話はよく聞きますが、実は山に入るときが一番危ないと思っています。

漆は木です。山には普通に生えています。

漆に弱い人は、木のそばにいるだけで発疹が出ることがあります。山菜採りやハイキングに行くなら、「ヤマウルシ」「ツタウルシ」には近づかないようにしてください。

山に自生するヤマウルシ

漆器に触れて

漆は完全に固まるまでに時間がかかります。

作りたての漆器に触ってかぶれる人もいるようです。完全に硬化するまで、だいたい一か月。完全に乾いていない場合はまだ触れないでおくのが鉄則です。

漆かぶれの応急処置——ついたと気づいたら

漆は樹脂なので、油に溶けます。

だから皮膚についたことに気づいたら、まずサラダ油などで拭き取ってください。水で流そうとしても落ちませんが、油ならきれいに拭えます。

そのあと石けんでよく洗う。この順番です。

ただ、見えないところについていることの方が多いので、漆を使う作業をしたあとは、とにかくよく洗うのが確実です。

そして、発疹や水疱が出てしまったら、絶対に触らない、掻かない。

原因が漆かどうか自分では判断できないことも多いので、症状が出たら皮膚科を受診してください。ここは省略しない方がいいです。

病院で処方されるもの、そして「特効薬はない」という事実

皮膚科では、ステロイドの外用薬が処方されることが多いようです。痒みがひどければ、抗ヒスタミン薬が内服で出ることもあります。

ここからは僕個人の考えです。

薬というのは「毒をもって毒を制す」もので、効くということは体に作用するということだから、必ず副作用がついてくると思っています。だから僕は、自分でしのげる範囲なら、まず自分の体と自然のものでやってみたい。

今回も、僕はステロイドを塗らずに、冷やすこととビワエキスで五日間しのぎました。

ただ、これは僕の選択であって、人にすすめているわけではありません。症状の重さは人それぞれですし、薬が必要な場面は確実にあります。処方を受けた方は、医師の指示どおりに使ってください。

そのうえで、知っておいた方がいいことがあります。

漆かぶれに特効薬はありません。

薬は症状をやわらげるためのもので、飲めば治るという類のものではない。結局のところ、体が炎症を引かせるのを待つことになります。

僕が知りたかったのは、まさにその「待っている間」をどう過ごすかでした。

かぶれた僕が、実際に効いたと感じたこと

ここからは体験談です。効き方には個人差がありますし、症状が重いときは迷わず医療機関を頼ってください。

「これは火傷に近い」と捉え直す

一番効いたのは、実は考え方でした。

痒いと言っても、正体は炎症です。軽い火傷のようなもので、むず痒いというより「ヒリヒリする」に近い。

そう認識し直したら、怖さが半分になりました。

虫刺されや蕁麻疹の痒みは我慢できませんが、漆かぶれの痒みは、落ち着いて観察すると意外と耐えられます。掻きむしって水疱を破ってしまうから重症化するのであって、慌てないことがそのまま処置になっている。

ちなみに、水疱に少し触れたくらいでは広がりませんし、他人にうつることもありません。

冷やす

炎症だと分かれば、やることは単純です。冷やす。

氷を当てると痒みはすぐにおさまります。全身に出ているときは、ぬるま湯や水風呂に浸かるのも効きました。

僕はひどいときで一日三回、水を浴びていました。これはかなり効果があります。

一番効いたのは、ビワエキスだった

嘘みたいな話ですが、一番効いたのは民間療法でした。

前の年に、ビワの葉と果実と種を焼酎に漬けたエキスを作ってありました。味が気に入ってだいぶ飲んでしまっていたのですが、少し残っていたので患部に塗ってみたんです。

塗った瞬間、痒みが引きました。

正直、自分でも驚きました。あくまで僕個人の体感ですし、医学的に効果が確かめられているものではありません。それでも、この記事を書こうと思ったのはこの一件があったからです。

作り方はこちらに書きました。→ ビワエキス(ビワ焼酎)の作り方

家の裏庭に、祖父が植えたビワの木があります。まさかこんな形で助けられるとは思いませんでした。

とはいえ、ビワの木が身近にない人の方が多いと思います。作るのが難しい方は、市販のものもあります。僕が漬けているのと同じ、葉を使ったタイプです。
Amazonで買えるリンクを貼っておきます。はっきり言って一家にひと瓶レベルのものです。

びわの葉エキス(平浦びわ組合)

 

ひとつだけ注意があります。ビワの種には、体内で分解されると青酸を発生させるアミグダリンという物質が含まれています。農林水産省も、種子の粉末を食べないよう注意喚起しています。葉に含まれる量はずっと少なく、塗る分にはまず問題ありませんが、種を多めに漬けたものを大量に飲むのは避けてください。

ただ、このアミグダリンという成分、毒であるということは逆に何かに作用するはずです。実際に注意喚起がされているにも関わらず、健康食品として粉末は売られています。

ネット上ではなかなか確かな情報が出てこない部分ではありますので、信用できる情報を自ら探す必要性がありますので注意してください。

漆かぶれに効いたビワの葉と実

ビワの葉を浮かべたぬるま湯

塗るだけでなく、風呂にも使いました。

ビワの葉を浮かべて、成分をお湯に出します。熱いお湯だと血行がよくなって痒みが増しそうなので、ぬるめにするのがコツです。

これも効きました。

後で調べていくと「葉を煮出してお風呂に入れる」というのもあったので、こちらの方がよく効きそうだなと思いました。
煮出した煮汁は簡易的ビワの葉エキスですね。

スパイスカレー

これは完全に偶然の発見です。

趣味でスパイスからカレーを作るのですが、「血行がよくなったら痒くなるだろうな」と思いながら食べたら、逆に痒みが引いていきました。

あとで調べたら、カレーに必ず入っているターメリック(ウコン)の成分に抗炎症作用が報告されているとのこと。因果関係を証明できる話ではありませんが、少なくとも僕の場合は悪化しませんでした。

山菜採り・キャンプでの予防

かぶれてから対処するより、触らないのが一番です。

山に入るときは、長袖・長ズボンで肌を出さない。ヤマウルシは羽のような形の葉が向かい合ってつき、秋には真っ赤に紅葉します。ツタウルシは三枚の葉が組になって木に絡みついています。

見分けがつかないなら、知らない植物には触らない。これに尽きます。

車に戻ったらすぐに着替える、というのも有効です。衣類についたウルシオールから、あとでかぶれることがあります。

まとめ|漆かぶれの対処法

僕の場合、治るまでに五日ほどかかりました。

一週間から十日はかかると聞かされていたので、早い方だったのだと思います。父が昔かぶれたときはかなり酷かったらしく、両親は僕の治り方に驚いていました。

やったことをまとめると、こうなります。

・掻かない、触らない
・氷や水で冷やす
・「炎症だ」と捉えて慌てない
・ビワエキスを塗る
・症状が重ければ皮膚科へ

繰り返しになりますが、これは医学的な処方ではなく、ひとりの体験談です。症状がひどいとき、広がっていくとき、目や口の周りに出たときは、我慢せずに病院へ行ってください。

そのうえで、待っている時間を少しでも楽に過ごすための参考になれば嬉しいです。

ビワの木、植えておいて損はないですよ。

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